五月の空は牛乳の色

人は「牛乳」で酔うこともあるのだと初めて知った。壮一帆さんのライヴ「SO BAR 2017」でのことだ。

貧乏性だからか、ライヴやコンサートに行くと、どんなに楽しくても、いま、大体このくらいの時間がたってるから、あとこのくらい? なんて具合に、無意識に体内時計を動かしてしまうのですが、久しぶりに時間という感覚を忘れて楽しんだ。

素敵なバンドがいて、お客さまはほぼ全員が壮さんのライヴを楽しみに来ている人ばかり。音はいいし、こじんまりとして落ち着いた空間は最高。お酒やオリジナルデザートなんかを片手に、ライヴが始まる。

舞台みたいに「幕があく」んじゃなくて、ステージに、バンドのメンバーが一人一人集まってきて、最後に壮さんが歩いてくる。それを合図に拍手が起こる。この始まりの雰囲気が最高。

そもそもこのライヴは、壮さんのファーストコンサート以来、バンマスで音楽監督、サウンドプロデュースをしてくれている立川さんのひと言から実現したという。

「壮さんさー、ライヴ合うんじゃない?」

そこから、じゃあ曲も作ろうよということになって、ミニアルバムも作ることになり、壮さんが作詞もすることになった。

そ、そんないきさつがあったとか。

立川智也さん、ありがとう。一ファンとしてお礼を言います。

こんなに壮さんらしいライヴになったのは、壮さんらしさをよく分かった上で、いーい塩梅にまとめてくれた立川さんやバンドの皆さんの、センスと音楽性と演奏技術によるところが大きいです。

壮一帆という女優(と、あえて言うね)のチャームとワイルドとメロウを引き出してもらい、「SO BAR」というレーベルをプロデュースしてもらった感じ。

おかげさまで、ちゃんと女優ライヴになっていました。「SO BAR 2017」。

クラシックやミュージカルのコンサートみたいに、かっちりとした楽曲とサウンドありきではなく、アーティストのライヴのように音楽中心でもない。壮一帆その人の魅力と個性で引っ張っていく。それがわたしが思う女優ライヴ。

さらに今回の場合は、ドラマチックコンサートやシャンソンのように演じもしない。
おなじみのバンドの音楽といっしょだからできあがる、リラックスした雰囲気のなかで、楽しみ、自由に、調和を保ちつつ、音楽が作られていく。

トークもとても自然。周りにいる一人一人に話しかけるような雰囲気がつくられるのは、ライヴハウスという親密な空間だからかな。客席から声がかかるわけではないけれど、反応を見ながら壮さんが自由に進めているのがわかる。ジャズだなあと思う。

東京でだったかな、ジャズが好きだと壮さんも言っていたけど、こういう自由な雰囲気が好きなんじゃないかな。

しあわせな時間だったなあ。しあわせすぎて、短いとも長いとも思わなかった。終わってからも、楽しかったとあう気持ちだけが残った。

シャンソンあり、『魔都夜曲』にちなんでの「蘇州夜曲」あり、攻め攻めノリノリなタカラヅカコーナーあり、もちろん今回のミニアルバムのコーナーもあり、ラストソングは花組時代のショー『ル パラディ』からのあの歌を…。アンコールは、立川さんおすすめのナンバー。これが、かわいいし楽しいし、すごーく壮一帆だった。

Twitterにも書いたけれど、オリジナルソングの数々がとても楽しい。おもに、子供時代のちっちゃいえりこちゃんがたくさん出てきて、いろんな情景が目に浮かぶ。壮さんの中にいる、ちっちゃいえりこちゃんが大好きだから、歌という形で出会えたのがとてもうれしい。

シャンソンはしっとりとした「枯葉」と、五月の海のようにさわやかな「ラ・メール」。このコントラストがとてもいい。

客席がざわっとしたのは「タカラヅカメドレー」。たぶん、壮さんが男役としてガンガンに攻めていた時代のナンバーばかり。バンドの演奏とあいまって、めちゃくちゃカッコいいメドレーになりました。二番手って、そういう時代なんだろうな。色でいうなら、赤と黒か。

「いま、男役スイッチ入れます!」てな感じではなく、自然でめちゃくちゃカッコいい。

えりこちゃんが「牛乳」でつくられたように、このマニッシュな雰囲気は、タカラヅカで壮一帆として生きてきた過程で身につけたた、もはや血肉。そんな誇りが感じられた。

まりゑちゃん作詞の大人っぽい「晩夏」は、最初は照れくさそうに披露してくれたけれど、回を重ねるごとに、映画的客観的な視点になっていっているみたい。こういう大人な愛の歌は、さらりと歌う方が壮さんらしい色気? のようなものが出てくる気がします。

もはや「色気がない」のが個性みたいになっているのが、個人的にはちょっと面白い。そこから壮さんらしい何かが出てくるような気はするんだけど、これからも動向を見守っていきたいと思う(笑)。

ラストソングの「エスポワール」は、当時から感じていたけれど、男役としてではなく、壮一帆として、いや、もしかしたら一人の人間としての希望と祈りの歌だったと思う。

東京の1stステージでは、「ディナーショーみたいにセットリストがないから、次に何が来るかわかんないでしょ? へへ」と、いたずらっぽく笑っていた壮さんを尊重し、少しずつ書いているセットリストとミニレビューは、ライヴが終わってからアップしようと思います。

(2ndステージでは「(初めての方は、まだ知らないよね?」とか、楽しそうに探りを入れてた ^^ )

それにしても壮さんは「白いもの」が好きだなあと思う。

白いTシャツが好みなのはタカラヅカ時代から。そのルーツは、『BANANAFISH』と リバー・フェニックスでしたよね。1stコンサートのアンコールでも、白いシャツにデニムで登場したのだった。『心中・恋の大和路』や最後のショーの衣装も白。慶次の白い花びら。雪ともご縁があったしね。

(そのくせ、サヨナラのときには白の会服はなし…(*^▽^*)  今回の牛乳Tシャツは、ある意味、遅れてきたサヨナラの会服?)

それはともかくとして、壮さんに白が似合うのは間違いない。牛乳Tシャツもすごく似合ってる。かわいい。

今回の「SO BAR」で振る舞われたのは、真っ白な牛乳でした。次にまた、こんなライヴがあるとしたら、そのときにはどんな色の飲み物が注がれるんでしょうね。

そんなことを楽しみに、ライヴの最後、名古屋に行ってまいります。ヤー!

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